SMCコラム

人事評価制度の考え方2(評価設計基準)

5.人事評価基準設計の考え方

評価項目が決まったら、次に「評価基準」を検討します。
当社でも経営相談の場において、お客様が実際に運用している評価表を拝見することがありますが、その際に次のようなものをよくお見かけします。
①1~5の数字のみの基準によって評価している
②「期待以上/期待通り/期待以下」という基準で評価している

上記のような評価基準では評価者の主観に大きく影響されますし、当たり障りのない評価をつけてしまう「中心化傾向」が発生します。
これでは評価エラーにつながり、社員にとっての納得感も低くなります。

これらの問題を解消するため、当社では評価基準を「行動レベル」で表現することを推奨しています。
行動レベルを定義すると設計段階では労力がかかりますが、運用段階では、次のメリットを得られます。

【行動レベルを定義した場合のメリット】
①日常の被評価者の行動に対し、評価基準に応じた指導ができる
(評価項目と基準が日常的に活用される)
②評価誤差を軽減できる
③被評価者が高評価を得るためにどのような行動を取ればよいか理解でき、成長につながる

たとえば 評価基準の例として「業務スピード」をみてみましょう。

図表1.評価項目「業務スピード」の基準例

評価項目

業務スピード

定義

与えられた時間内に迅速に仕事を処理する

評価基準

業務量超過にも時間配分・作業準備・作業方法を工夫して対処していた

多少の業務量超過も期日遅れなくこなせており、スムーズな作業ができていた

通常の業務量であれば、与えられた時間内に処理できており、期日遅れはほとんどなかった

通常の業務量でも、与えられた時間内に処理できないことがあったが、自分で処理して迷惑をかけることは少なかった

通常の業務量でも、与えられた時間内に処理できておらず、周りにも迷惑をかけていた

基準設定の際には、社内の現状を把握した上で以下の通りレベル分けします。
◆上位2割が行動している水準をレベル4
◆中位6割の水準をレベル3、2
◆下位2割の水準をレベル1

基準5には、会社が目指す「あるべき像(現在の最高到達点)」を定めます。

6.社員の納得感をあげる評価方法

社員における評価の納得感を上げるには、以下の2つが重要です。
①人事評価表を被評価者に示して理解させる
②自己評価を行わせ、評価結果をフィードバックする

①人事評価表を被評価者に示す
当社の経験上では、約2割の企業が従業員に人事評価表を公開していませんでした。
社員の立場からすれば、何をどのように評価されているか分からないため、納得感はほとんどないと推察されます。

実際こういったケースで、被評価者からヒアリングを行うと
「自分がどのように評価されているか知らない。何が良くて、何が悪いのかも分からない。」
「怒られることはあまりないし、給料が上がっているので、今のままでも評価されているのかな、と思っている。」
「納得感は少なく、今後自分がどうなっていけばよいか分からない。」
という答えが返ってくるケースが多数です。

上記のような状況では、人事評価制度が効果的に運用されているとは言いがたいでしょう。
そうならないよう、従業員に対し評価項目と評価基準を明示する必要があります。
従業員側も、評価の内容が明らかになれば行動基準を把握しやすくなりますし、評価結果に対しても納得しやすくなります。

②自己評価とフィードバック
次に、社員に自己評価を行わせることが重要です。自己評価と一次評価者による評価に乖離があれば、そこを指導ポイントにすることも可能となります。

図表2.自己評価と一次評価者による評価の乖離とフィードバック

自己評価と一時評価との乖離

フィードバック内容(指導ポイントになる)

「自己評価 > 一次評価」

点数が低い理由を説明して自覚させ、点数を上げるための改善行動を取るよう促します。
(説明がなければ、その評価項目について本人は高いレベルにあると自己認識しているため、改善されません。)

「自己評価 < 一次評価」

しっかりと高いレベルで行動できていることを知らせて承認し、有能感を持たせます。
その上で、さらに上のレベルに挑戦してもらいます。

上記のようなやり取りを評価結果にもとづいて行うことができれば、評価者と被評価者との間の信頼関係が強まり、被評価者の納得感の向上にも繋がります。

フィードバックとしては社内における相対評価の結果を伝えます。
すると同じ職種、階層の中で本人がどのレベルにあるのかを知ることができ、成長への動機付けや指針となります。
ただしフィードバックを適切に行うには評価者側の高い評価能力が必要ですので、評価者自身を訓練しなければなりません。
評価者訓練では、個人的なバイアスによる評価エラーを少なくするため評価者自身の個性を把握させるとともに、被評価者に対する承認の与え方やフィードバック面接の方法、評価行動の観察方法などを身に付けさせます。

評価者訓練で学んだことを実践すると、以下のようなことが可能となります。
・評価者と被評価者が信頼関係を構築できる
・被評価者に対し、評価者が承認していることを伝えられる

このことで被評価者の納得感も高まります。
評価者訓練を定期的に実施している企業は少数ですので、現在行っていない場合には、できるだけ取り入れて行くことをお勧めします。

(2016年1月18日公開)

(2020年2月29日更新)

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