SMCコラム

マネジメント基礎

そもそもマネジメントとは、どのようなことでしょうか?
マネジメントする人をマネジャーといいますが、ドラッカーは著書『マネジメント』において「マネジャー」を「組織の成果に責任を持つ者」としています。

当社では、マネジメントを「部下を成長させながら、自部門の成果を上げること」と定義づけています。
「部下を成長させながら、自部門の成果を上げること」を最終アウトプットとすると、インプットとプロセスとして次の①~⑩が必要となり、マネジャーはこれらすべてに責任を持ちます。

図表1:マネジメントの全体像(マネジメントの10要素)

マネジメントの10要素

①~⑨の過程をマネジメントサイクルに当てはまると、①~⑤はPlan、⑥~⑦はDo、⑧はCheck、そして⑨はActionに該当します。

マネジメントするとき、マネジメントツールを活用して正しく運用し、ある程度の時間をかければ①~⑤Plan、⑧Check、そして⑨Actionは徐々に機能するようになってきます。

しかしマネジャーには、上記のプロセスの中で単純に行動を管理するだけではなく日常的に部下とコミュニケーションを図りつつ動機付けをはかることが求められます。

「マネジャーに管理されているから部下が受動的に動く」状況ではなく、「マネジャーによって部下が動機付けされ、部下が能動的に動く」状況を作りあげる必要があるのです。
これこそ組織における上司と部下の理想的な関係です。

マネジャーの立場となったら、部下に対して、日常的に関与するようにしてください。

ここで、 "マネジメントの全体像①~⑩"について簡単に説明します。

①経営(事業)戦略を深く理解

マネジャーは、会社全体あるいは経営陣が何をしようとしているのか、ビジョン(将来像)、ミッション(使命)、バリュー(価値観・行動基準)を理解し、そこから導き出される全社戦略を深く理解する必要があります。ここで理解を違えるとその後の全てが狂ってしまうので、経営陣にしっかり内容を確認しつつ、慎重に理解を進めることが求められます。

②与えられた資源を分析・把握

会社・部門の保有資源や経営環境を調査し、3C分析やSWOT分析などのフレームを使って現状を正確に把握します。
物的資源・人的資源の両面において正確な情報収集と状況把握が必要とされます。

③部下と共に適切な部門戦略・目標を策定

上位からおりてくる方針や各種資源の分析結果、さらには部下からの情報収集によって得られる現場の実態をもとに、マネジャーが管轄部門における戦略を策定し、目標を設定します。その際、担当部門が抱える問題を正しく構造化することにより、適切に課題設定することが可能となります。

④部下と共に効率的で効果的な戦術を構築

③で策定した戦略を元に業務を部下に配分し、部下がそれを実現するための戦術を構築します。この時、マネジャーは、配分した仕事の"目的・意義"をしっかりと部下に示す必要があります。

"目的・意義"が部下に伝われば、部下も担当業務の重要性を認識できてモチベーションの源泉になります。日々の業務に部下が埋没してしまわないように適宜、目的と意義を伝えるようにしてください。

なお、具体的な戦術は基本的に部下自身に考えさせるようにしてください。
「どのような戦術を構築すればよいか?」という問いに対する答えはできるだけ最後まで教えず、部下が自発的に思考できる環境を作ります。部下自身が考えることにより部下の成長スピードが速まります。
ただし、部下に理解不足の点や不明点があれば、適切なヒントを与えます。マネジャーとしては全体戦略から乖離しないように部下の戦術をチェックすることが大切です。
"部下自身に考えさせる"を誤認あるいは都合良く解釈して、単なる「放任主義」に陥らないように注意が必要です。

⑤部下と共に具体的な計画を立てる

部下が考案した戦術をもとに、具体的な計画を作成します。「目的」を正しく認識し「目標数値・水準」に到達するための、「ステップ」と「スケジュール」を設計しましょう。計画立案のポイントは、部下が計画内容の具体的な行動イメージを描けるかどうかです。イメージが描けないと、実行するのは困難となるためです。
マネジャーとしては、部下に対して「期待感」を伝えることも大切です。
企業に所属している以上、粛々と業務遂行していかねばならないのは当然ですが、それだけでは「人」は動かせません。マネジャーの口から、"最大限期待している"ことを伝え、部下の「やる気」を引き出してください。

⑥部下に期待をかけて仕事を任せる

⑦部下と密にコミュニケーションを図りながら動機づける

⑧部下の行動内容と行動結果を承認する

マネジメントが単に"管理(control)"だけにならないようにするには、⑥から⑨のプロセスが極めて重要です。日常的に密接に部下と関わり、マネジャーと部下の信頼感を醸成し、協力関係を構築してください。
そのためには、部下の個性に合わせて、報告・連絡・相談を徹底し、緊密なコミュニケーションを図り、マネジャーと部下の間でストロークを交換することが絶対条件です。
※ストローク(stroke)とは「その人の存在や価値を認めるための言動や働きかけ」です。

⑨部下に必要に応じて行動修正を指示

部下が戦術を実行するとき、マネジャーは適切なタイミングでプロセス管理を実施します。
計画通りに進んでいるか、着実に成果が現れているかを、観察や部下とのコミュニケーションによって確認します。このコミュニケーションは、部下に対するフィードバックにもなります。
⑨のプロセスはCheckの要素になるため、項目としては独立させましたが、実務的には⑥~⑧と一連の流れの中で日々実施するものです。

⑩結果として、部下を成長させながら、自部門の成果を上げる

③~⑨を適切に実施すれば、おのずと部下は成長していきます。そして、戦略・戦術が間違ってさえいなければ、自部門の成果も上がります。

(2015年10月1日公開)

(2020年2月29日更新)

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