SMCコラム

経営方針管理と目標管理7(マネジメントシステムの本質と機能)

12.5種のマネジメントシステムの本質と機能

11章の図表4で、良質な活動を行う基盤となる仕組みとして

「経営方針マネジメントシステム(PoMS)」

「タイムマネジメントシステム(TMS)」

「業務品質マネジメントシステム(QMS)」

「人事マネジメントシステム(PeMS)」

「人材マネジメントシステム(HrMS)」

の5つのマネジメントシステムを提示しました。
これらは非常に重要な仕組みであり、当社が各種コンサルティングに着手するとき、この5種のマネジメントシステムの状態を重点的に確認しています。
ただ残念ながら、しっかりと構築できている企業は多くありません。

そこで、マネジメントシステムの本質と5種のマネジメントシステムの機能を解説します。

1.マネジメントシステム(組織活動の仕組み)の本質

マネジメントシステム構築の本質的な目的はどのようなことでしょうか?
それは、経営陣が個別に詳密なマネジメントをしなくても、従業員がマネジメントシステムに則って活動すれば、経営方針に合致した生産性の高い行動をとれる状態を実現することです。
ISOなどのマネジメントシステム認証有無にかかわらず、組織内でマネジメントシステムを適切に構築・運用すれば、経営方針の実現、ひいては経営理念を実現する近道となります。

2.5種のマネジメントシステムの機能

経営方針マネジメントシステム(Policy Management System)・・・年度経営方針を確実に実行する機能

年度経営方針を部門別に展開して各部の方針と計画を明らかにし、従業員には個人別にテーマ(業務)を付与し、プロセス管理を行い、経営方針を確実に実行させる基盤となるシステム。
企業経営では最重要のシステムですが、残念なことに多くの企業では結果管理が主流であり、経営方針マネジメントシステムの導入率は高くありません。そういった企業では優秀なマネジャーが個人的にプロセス管理を行っているケースが多数です。
なお、社員個々の目標管理は人事制度のサブシステムである目標管理制度ではなく、このシステムでテーマ別に達成率管理をして、その結果を人事評価にインプットしていくのが適切です。

タイムマネジメントシステム(Time Management System)・・・重要業務に多くの時間を割り振るなど、適切に時間配分する機能

社員一人当たりおよそ年間1,800時間~2,000時間しかない有限な資源である「時間」。その配分を見直し、社員の行動を経営方針実現に重要な業務に集中させるためのシステム。
企業業績は、「社員一人ひとりが、どの業務にどれだけの時間を投入したか」「業務をどれだけ効果的・効率的に遂行したか」で決まるといっても過言ではありません。しかしながら現実には業務別の時間配分や業務の生産性をマネジメントできていないケースが多く見受けられます。
業務別の時間配分を改善するために、このマネジメントシステム構築・運用していきます。

業務品質マネジメントシステム(Quality Management System)・・・業務プロセスの質と効率を改善する機能

日常業務においてインプットに対するアウトプットの質を維持・向上させるとともに、業務プロセスを効果的・効率的に改善するためのシステム。
先にも触れましたが、モノの製造、品質管理や品質保証を行う生産や製造機能だけを対象にしたシステムではありません。
「マーケティング」「企画」「営業」「研究開発」「物流」「サービス」「管理」など、すべての経営機能が対象となります。

人事マネジメントシステム(Personnel Management System)・・・人事評価と処遇を行う機能

人事戦略5分野(採用・評価・処遇・育成・配置)のうち、評価と処遇に関する3制度(等級制度・評価制度・賃金制度)を運用するためのシステム。
業務品質マネジメントシステムにおける社員一人ひとりの活動状況をこのシステムによって観察し、適切な処遇を実施します。このシステムはそのまま「人事制度」ともいえます。

人材マネジメントシステム(Human resource Management System)・・・人材育成するための機能

人事戦略5分野(採用・評価・処遇・育成・配置)のうち、育成と配置に関するシステム。
育成体系の運用と育成のための適正配置を実施します。
業務品質マネジメントシステムにおける社員一人ひとりの活動状況をこのシステムで観察し、成長度合いを測定して適切な配置に結び付けていきます。

御社において経営方針管理の最適化を進めようとする場合、まずはこれらの5種のマネジメントシステムの構築・運用状況を一度レビューされることをお勧めします。

3.5種のマネジメントシステムをレビューする際の着眼点

ここでは、その機能が適切に稼働しているかレビューする際の着眼点をみていきます。

経営方針管理マネジメントシステム(Policy Management System) レビュー項目
・・・年度経営方針を確実に実行するためのレビュー

年度経営方針を部門、部、課、個人へと展開できているか

方針展開の主管部門を設定しているか、その部門が全社的な展開について管理できているか

個人に割り当てたテーマにおいて、目的・ゴール(目標値)・ゴールまでの工程が明らかになっているか

上司が個人別テーマを週次で進捗管理しているか

個人別テーマの進捗状況に応じて組織のゴール(目標値)設定の見直しができているか

タイムマネジメントシステム(Time Management System) レビュー項目
・・・重要業務に適切に時間配分するためのレビュー

組織としての職務を明らかにし、カテゴリーや重要度の分類をしているか

上司が部下に対し、月次・週次でカテゴリー別の投入時間を指示しているか

日報作成により、カテゴリー別の投入時間割合が明らかになっているか

カテゴリー別投入時間の「計画」と「実績」の差異を上司がレビューし、部下に指導しているか

差異が生じる原因がある場合、その原因を排除するための根本的な対策を行っているか

業務品質マネジメントシステム(Quality Management System) レビュー項目
・・・業務プロセスの質と効率を改善するためのレビュー

組織としての職務を規定し、職務ごとにインプット・プロセス・アウトプットを明らかにしているか

プロセスの難易度に応じて定型業務・非定型業務に分類し、役割分担を明らかにしているか

定型業務については手順書・チェックリストを整備し、効果的・効率的に業務遂行できる状態にできているか

非定型業務の管理基準とアウトプットの合否判定基準が明らかにされているか

プロセスの生産性・アウトプットの品質を高めるためのレビューが継続的に実施されているか

人事マネジメントシステム(Personnel Management System) レビュー項目
・・・人事評価と処遇を適切に実施するためのレビュー

等級ごとの役割・職務にもとづいて、個人に仕事を割り当てているか

年度経営方針のテーマ達成率を評価に活用しているか

年度経営方針に連動した評価項目を等級別に設定しているか

等級や職務の難易度に基づいて賃金水準を設定しているか

等級別の賃金水準を考慮して等級内昇給額を設定しているか

人材マネジメントシステム(Human resource Management System) レビュー項目
・・・人材育成を適切に実施するためのレビュー

「育成」と「指導」を明確に切り分けて社員の成長を促しているか

人材育成の長期計画(10~15年)を策定しているか

育成対象者に対し、定期的な配置転換を行っているか

上位者は下位者の支援を、下位者は上位者の補佐をできているか

業務の標準化を進める際、一般階層の社員の配置転換を実施しているか

御社でも上記の着眼点にもとづき、マネジメントシステムを見直してみるようお勧めします。

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