SMCコラム

人材育成体系の考え方3(人材育成体系の運用/人材育成戦略)

3.人材育成体系の運用とキャリアプラン

人材育成体系を運用する際、会社側から働きかけるばかりでは、育成される側の社員の多くは「受け身」になって効果が上がりにくくなるので注意が必要です。
例えば企業内研修の際、参加者が「人事部から研修に参加するように指示があったから参加しています。今日は何の研修ですか?」などと質問するなど、何のための研修かすら理解できていないケースも多々あります。

参加目的が不明確であれば、当然ながら研修効果は期待できません。
「○○を学びに来た」という目的意識があってこそ、研修内容を理解・習得し、実践に活かすことができるのです。

では、どうすれば社員に目的意識を持ってもらえるのでしょうか?
それは、社員一人ひとりのキャリアプランにおける「自身の役割」を認識してもらい、その役割を果たすには何をすればよいのか(何ができればよいのか)を継続的に考えさせる必要があります。

その前提として、社員一人ひとりが自らのキャリアを棚卸ししなければなりません。

棚卸しの際に、社員に考えてもらうポイントは次の2点です。
①期待される役割を理解し、3年後までの自身のあるべき像を描く
②あるべき像に到達するために学ぶべきこと、行動すべきことを導き出す
(会社としてどういったサポートをできるのかも知らせましょう)

このように棚卸しして整理することにより、自身の役割とやるべきことが明らかになり、現段階では理解・行動できていない事項についても計画的に理解・行動できるようになります(図表2 人材育成体系構築ステップ 4.個人別育成目標設定に繋がります)。

社員がはっきりと自身のあるべき像(=目標)と、そこに到達するための課題を認識することで、自発的にその課題を解決したいというニーズが生まれます。
このことによって、研修などの機会にも積極的に「学ぼう」「会得しよう」というモチベーションが生まれ、効果的に人材育成の施策を実施していけるのです。

4.中長期の人材育成戦略

ここまでは、社員が等級で規定された役割を果たすための人材育成の考え方や方法を述べてきました。
経営的にさらに一歩「人材育成」を進めるには、「人材ポートフォリオ」の視点を加味する必要があります。
すなわち、中長期的な事業展開において「あるべき人員構成」を導き出し、それを実現すべく、全社的な人材育成計画を策定するのです。
社員数だけではなく、保有するスキルや果たせる役割も加味して人材育成計画を立案します。

図表6.人材ポートフォリオの視点を加味した人材育成体系の構築方法

Step

テーマ

内容

経営方針から導き出す等級別人材像の明確化

等級別の役割だけではなく、中長期の経営方針を実行するためのスキルも含めて、必要な人材像を明確にします。
コンセプチャルスキル、ヒューマンスキルに加えて、職種別に主要なテクニカルスキルも明らかにします。

人材ポートフォリオの明確化

中長期の経営方針実現のため
・階層別に必要な人材と人数
・職種別に必要な人材と人数
を明確にします。
階層別では「役割を担える能力」、職種別では「主要なテクニカルスキルを保有し行動できる能力」が重要です。

現状とのギャップの明確化

社員一人ひとりについて、現時点における人材育成状況を洗い出します。
その上で、ステップ2で明確にした「必要な人材」とのギャップを導き出します。

人材ポートフォリオを満たす人材育成方針・内容の設計

必要とする人材像と現状のギャップにもとづいて、人材育成方針と育成内容を設計します。
(例)育成方針:学びの場の提供(実務、実務外)
育成方法:OJT/Off-JT/自己研鑚/異動
なお、人材育成だけでギャップを埋めることができない場合は、中途採用も選択肢に入れます。

個人別育成目標設定

ギャップ分析結果・人材育成方針に基づき、現在の等級において未修得かつ重要な内容から順に実施、育成していきます。

実践・結果フィードバック

一定期間(半期または1年)人材育成計画を運用した結果を確認し、フィードバックし、次期の目標を設定します。

経営方針変更に伴う等級別人材像の明確化

経営方針が変更されたら、それに伴って等級別人材像・人材ポートフォリオに修正が必要かを検討し、ステップ1~3の過程を行います。
修正が必要であれば、それを加味してステップ4~5を実施・運用します。

(2015年12月1日公開)

(2020年2月29日更新)

【ご案内】
当社では、本稿で解説しました「人材育成体系」の設計も承っております。
お気軽にお問い合わせください。

© 2015-2020 Stream Management Consulting Co., Ltd.